もう少し、もう少しでボクの唇がマユの唇に到達する。そんなタイミングで、ブシが動いたのが音と気配で分かった。

 慌ててマユと体を離し、ブシの方を見れば、ブシは寝ぼけているのかまぶたを擦っていた。

「ブシコ、おはよう。眠れた?」

 マユがブシの元へと移動して、視線を合わせるために膝をつく。

「マユたん殿……戻られたか?」

 寝起きでまだ覚醒していないからか、呂律がうまく回っていない。でもそれが可愛かったりする。