この数枚の手紙だけで、普段のブシを垣間見ることができた。

 ひとりぼっちの時間が長いこと。文句一つ言わず、健気な物分かりのいい子供を演じていたこと。

 まるでボクのよう。思い返せばボクも愛に飢えていた。母親の欠片も知らなかったボクは父親を求め、それが叶わないと知ると、隣人に目が向いた。

 ――言わずもがな、ノリコさんとマユだ。

 そこだけは違う。ブシは母親を知っているにも関わらず母親の愛に飢えている。今も離れ離れになった母を――その母親の温もりや安らぎを――ブシは常に求めている。