あのね。ボクはマユの切られた手に視線を向ける。

「その手のことはどう説明すんの? ブシを狙っている犯人に手を切ちゃったんだよねって言って、仕方ないわね、これから気をつけなさいよで済むと思ってるの?」

 ボクの言葉にマユは言い淀む。

 ノリコさんのことはボクもよく知っている。頭でっかちじゃないことも、頭ごなしに否定せず、こちらの意図を汲み取ってくれることも。

 でも今回は違う。マユはノリコさんの娘だ。娘のことを大切に思わない母親はいない。