立入禁止エリアから園内に出たところでマユたちに追いついた。

 警棒の縮め方が分からず、仕方がなく伸びた警棒を手にしていたが、それに気づいたマユがひったくるように警棒を奪うと、すぐさま戻してくれた。

 そこからはとにかくあまり目立たないように意識して移動した。決して走ることなく、できる限り人混みに紛れることを意識した。少しくらい遠回りしてでも、とにかく人の多い場所を探し歩いた。

 時折背後を見ては、あの男女の姿を探した。さすがに男はすぐには立ち上がれはしないだろうと想像はついたが、女だけでも後をつけてきている可能性はある。

 逃避行を続けながら、男は大丈夫だったのだろうかとそんなことを考えていた。警棒を振り回した時の手応えがまだ手に残っている。かなりの衝撃だったはすだ。