「マユ!! ブシ!!」

 間に合った。大きく肩で息を吐く。

「ありがとう、大丈夫」

 切られた手を反対の手で押さえながらマユは笑みを浮かべている。

 生きてる――マユが生きてる。

 それだけで泣きそうになった。

 安堵しているボクとマユをよそに、ブシはマユの切られた方の手を引き、その甲にハンカチを乗せた。マユはハンカチをきつく縛るブシに対して、もう片方の手をブシの頭に乗せた。

「ブシコ、大好きだぞ」

 マユの言葉に対し、ブシは満面の笑みを浮かべる。