マユに手渡されてリュックに入れたところは見ていたが、反対にリュックから出したところを見た記憶はなかった。

 ブシ自身が覚えていたのだ。警棒がリュックに入れっぱなしだったことを。いや、もしかしたらリュックの重みから常にその存在を意識していたのかもしれない。

 ブシがボクを見た。その目がボクに何かを伝えたがっている。

 分かる。ブシの思いもボクと同じだ。

 ボクがうなずくと、ブシはボクに向かって特殊警棒を投げた。