「マユ、ブシ、逃げろ!!」

 ボクがそう叫んだ。

 マユがブシの手を引き、女の脇をすり抜けようとするも、女がナイフを振り回すので、うまくいかない。

 女に威嚇されながら、マユたちはジリジリと後退を始め、結局は、マユとブシは先程までいた路地の突き当りの左奥付近まで退却を余儀なくされた。背後には鉄製のドア。退路は断たれた。

 女はナイフを持ったまま、マユたちの前に立ちふさがる。手を握り、横並びになっていたブシをマユが自分の背後に移動させ、マユは両腕を目一杯に広げ、必死にブシを隠そうとする。