ボクの名前は唯一《ゆいいつ》と書いて唯一《ただひと》と読む。ユイなんて女の子みたいな呼び方は本当は好きじゃない。

「……許さない」

 男のすぐ目の前まで来た。男の瞳が小刻みに揺れている。恐怖を感じているのた。ボクは真っ直ぐに男の瞳を見据えて、もう一歩前に出る。

 マユを傷つける人間は――許すことができない、絶対に。

 例え刃物を向けられようとも、いやその刃物に刺されようとも、ボクは――構わない。マユさえ守れれば――それでいい。