母親を半分貸してくれただけでなく、ボクはマユにずっとずっと守られてきた。言葉では到底表すことができないくらいの大きな大きな恩がマユにはある。

 その恩は必ず返さないといけない。そして返すとしたら――それは今だ。

「ユイ、危ないから行っちゃダメ!!」

 背後からマユの叫び声。本当はそんな名前じゃないのに、いつでもマユはボクのことを"ユイ"と呼ぶ。

 止めてよ。そう何度言ったことか。その度に可愛いからいいじゃんとマユはどこ吹く風なのだ。