少しはいい思い出になっただろうか。ボクとマユだけじゃなく、ブシにとっても。

 実際、ボクは晩ごはんのメニューを考えはじめていた。今日こそは照り焼きハンバーグを作ってみようか。ブシは食べてくれるだろうか。それとも全く別のものがいいだろうか。

 ブシの大好物の筑前煮でもいいかもしれない。冷蔵庫の中を思い出し、足りない材料を頭の中でピックアップしていた。

 それが大きな間違いだった。せめてお客さんのひしめく遊園地のエリアまで気を張っているべきだったのだ。

 それを思い知ったのは、マユが横道からT字路に差し掛かった時のことだ。