「とにかくこの子はボクたちと一緒に帰るから」

 目の前のブシにボクは手を差し延べる。女はオドオドしている。拒否の様子もなく、観念したのだと思い込んでいた。

 でも違った。不意の衝撃に教われた。視界が傾く。少し離れた場所にいたはずの男が、至近距離にいた。肩をこちらに向けた状態で突っ込んで来たのを見て、突き飛ばされたのだと認識した。

 そのまま尻もちをついていく。

「行くぞ!!」

 男の罵声に合わせて女が動き出した。ブシの手は女が握ったまま。