もうお互いの顔がハッキリと分かるだけしか距離はない。

 不意に風が細い通路を通り過ぎていった。髪の毛が舞い上がる。一瞬、視界が塞がれ、慌てて前髪をかきあげた。

 普段前髪で顔がある程度隠れるようにしている。まじまじと顔を見られたくないからだ。

 切れ長の目。理想的な二重まぶた。まつ毛も長く量も多い。もちろんつけまつげの必要なんてない。真っ直ぐに伸びた鼻梁。薄い唇。ボクの顔は直線に近いもので構成されている。