でも引くわけにはいかない。

「ごめん。そうはいかない。預かってる大切なお客様だから」

 実際には手紙1枚見せられただけだが、その手紙の内容をボクは信じている。

「この子を連れてくるように頼まれているんです。そうしないと僕ら大変なことになるんです」
「連れてくるようにって……誰に?」
「この女の子の親に」
「ボクたちはその子の母親に頼まれて預かってる。たから親が連れてこいって言うはずはないよ」

 たしなめながらも一歩一歩、ゆっくりと犯人たちに近づいていく。