犯人たちはボクとマユを振り返って、態度を一変させた。周囲に溶け込むように親子のふりをしていたが、逃げ切れないと判断したのだろう。男の方がブシを抱えて走り出した。

「待て!!」

 そうなれば追うしかない。マユが我先にと走り出し、ボクがマユの背中を追うという形はここでも変わらない。

 男女はまるであみだくじのように建物脇の細い路地を駆使して、クネクネと進んでいく。身軽なボクたちの方に部があるはずなのに、全く距離が縮められず、フラストレーションは溜まるばかりだ。