ブシのプロフィールを聞かれたところで、何も答えられない。ブシを探してもらうどころか、ボクたちが誘拐犯にされかねないのだ。

 待ち合わせセンターの脇を抜け、昼ご飯を食べたレストランの建物を超えたところで、マユが右前方を指さした。

「いた!!」

 今度はボクもしっかりとブシの姿を捉えることができた。

 不審な男女。その間には確かにカーキ色のキャミソールを着た女児の姿。一見すると親子にしか見えない後ろ姿だが、よくよく見れば男女が半ば無理やりに女児を引いているのが分かる。

 マユが一直線に男女に向かって歩を早める。