周囲の様子を伺いながら進むマユの背中を追い、建物の角を回ると目の前に一つドアが現れた。ドアのガラス部分に"お客様待ち合わせセンター"の印字。いわゆる迷子センターのことだ。

 "迷子"という単語に対して過敏な保護者の為、"待ち合わせ"というネーミングにしたという話は、この辺りでは有名な話だ。

 じゃあ、そのネーミングを逆手に取って、ここで友人と待ち合わせをしてもいいですか? と大人がセンターに顔を出せば、それはそれでスタッフがいい顔をしないという都市伝説のような噂話も耳にしたことがある。