「でも……何でブシが!?」

 さらわれたとマユの口から聞いた瞬間から感じた疑問。

「可愛いからでしょ、そりゃあ」

 そう決めつけるマユの言葉を素直に受け入れることができないでいる。

 本当にそうだろうか。可愛いというだけでここまで大それたことが起こりうるものだろうか。

 結局はブシのことは何も知らない。母親がいるらしいということ。いるらしいとは、手紙で、そう勘ぐる文章がしたためらているだけで、一切、コンタクトを取って来るわけではないから、本当のことが分からないからだ。