「あぁ、待ちきれない。もう無理」

 マユは苛立ちを隠せない様子で立ち上がった。そのまま手にしていた紙飛行機もどきをゴミ箱に叩き込み――NBAのダンクシュートくらいの激しさで――そのまま向きを変え、トイレの方向に突き進んでいく。

 マユは猛烈な勢いで視界から消え、正義の味方が犯人のアジトから人質を救い出すかのごとく、ドヤ顔でブシを連れてかえってくるかと思いきや、意に反して慌てふためく様子で、マユは舞い戻ってきた。