そもそもボクはその不審者を見ていないのだから、未だにピンとこないのだ。もちろん2人が嘘を言ってるとは思っていないが、その男は本当に道を聞きたかっただけなのかもしれないという線も消せずにいる。それなのにいつまでもビクビクして外に出られないでは、あまりにも窮屈かつ退屈過ぎる。

 結果から言えば、夏祭りを思う存分楽しむことができた。マユは始終、浴衣のブシにご執心で、ずっとスマホのカメラをブシに向けていた。