そんなボクでも画面に映る細身の投手のゆったりとしたフォームから投じられた球が、打者をきりきり舞させている様子を見て、たたならぬものを感じることはできた。

 マユとブシが不審な車に横付けされてから一週間。最初の3日ほどは本当にビクビクして、ことあるごとに2階から外を眺め、不審者を探していたものだが、今となっては本当に道を聞かれただけなんじゃないかと勘ぐってしまうくらいに平穏な日々が続いている。

 あまりに平穏な日々が続き過ぎて、気づけばお盆が過ぎてしまっていたくらいだ。