何気なくつけたテレビでは、甲子園で行われている高校野球の全国大会が放送されている。

 時折響く歓声。実況のアナウンサーの声のトーンも歓声に合わせて上がっていく。どうしてここまで実況が興奮しているのだろうかと耳を傾ければ、どうやらプロ注目の投手が投げているらしい。

 野球はあまり詳しくない。ルールだってよく知らない。投手が球を投げ、打者がバットでそれを打つ。球が前に飛べば塁に向かって走る。無事一周してホームを踏むことができれば1点。チームごとに攻めと守りがあり、互いに点を取り合い、最終的に多く点を取った方が勝ち。分かっているのは、それくらい。