思い返せば、ブシはずっと体の隣にピンクのリュックを置いていた。

 寝るときでさえそう。布団の隣には刀、そしてリュック。この並びは不動だ。掛け布団から伸びた手が、ピンクのリュックに乗っかっていることも珍しくない。

 お風呂に入る時でさえ、ブシはピンクのリュックを脱衣所に持ち込んでいる。歯を磨く時に至っては、リュックを背負っていた。置き場所がないから、そこらへんに置いておくと邪魔になるから、そうブシが気を回したのだろうと勘ぐっていたが、今となっては引っかかる。