そっか。そうだった。ボクは小さい頃からマユにペースを乱されて続けている。ノリコさんを貸してもらった恩返しのようなものだと、最初こそ割り切っていたつもりだったが、いつしかマユにあてにされるのが嬉しく思う自分がいることにボク自身気づくようになった。

 何をイライラしていたんだろう。何もかも今更ではないか。

 脱ぎっ放しのブシの作務衣を畳み、ソファの上に置いた。

 ちょっと言いすぎたかな。軽い反省。でも――せっかく一人になれたのだ。こんな機会を逃す手はない。