「……名前、聞いていいかな?」

 ボクはしゃがみ、小さな武士と視線の高さを合わせた。この小さな武士のことを少しでも知りたった。

「お主なぞに名乗る名前はない」

 小さな武士は、それでも心意気は立派な侍のようだ。顔を背けるわけでもなく、真っ直ぐにボクの目を見据え、キッパリと断られてしまった。
 しゃがんだままボクは考え込む。