「ちょ、ちょっと、何も今掃除機かけなくても」
「煩い!!」

 脱いだままのマユの靴下が、ソファの下に潜り込んでいるのを見つけた。指先で引っ張り出し、リビングの入り口付近に投げた。もちろん後で洗濯機に放り込むためだ。

 改めて床を見れば、案外といろいろなものが落ちているのに気づく。ローテーブルの下にはクッキーの包装袋。ソファの脇には、マユが普段持ち歩いている鞄が転がった状態のままで放置されているし、その横には、書きかけのまま放置されている大学のレポート用紙や資料、そして筆記用具まで散乱している。挙句の果てにはスマホまで。