刀を振る度にハッというブシの気合の入った声がリビングにこだまする。マユはそんなブシの声を気にする様子もない。ブシの足がローテーブルに当たった。あられの包装袋がまた一つ二つ床に落ちていくのが目に入った。

「ブシコ、邪魔だし危ない」

 ようやくそこでマユが注意する。しかしソファに寝転がったままで、かつ間の抜けた声ではどうしても説得力に欠ける。

「鍛錬じゃ。気にするでない」
「もぉ。ほどほどにしてよね」