手紙から視線を外し、今一度、一度武士を見た。

 そうなのだ。目の前の武士はとにかくミニマムだ。ボクに子供はいないから想像でしかないが、多分、小学校の低学年。1年生かよくいっても2年生といったところだろう。性別は――女の子。手にしている刀ももちろんプラスチック製のおもちゃだ。

 当然だ。立っているのが大人で、本物と見紛うような出で立ちなら、声をかけることなく、ボクは交番に駆け込んでいる。

 ボクは再び便箋に視線を落とした。

 柔らかな筆跡。達筆というより教科書的な読みやすい字と言えた。ただし癖がないわけじゃない。縦の棒は必ずというほどはねている。本来ならとめるべき場所も例外なく。