「本当に……十分じゃ」
「そっか」

 ブシがボクに背を向けたことで、ボクはそれ以上続けるのを止めた。

 ボクもブシも身じろぎもせず、お菓子売り場で立ち尽くしていた。一度は帰ると言いかけたブシだがカートの横で動かずにいてくれている。

 最後まで手にしていたポテトチップスのうすしお味を、置き場に困って結局はカゴに入れ、帰ろうか、とボクはブシを促す。

 明後日の方角を向いたまま、ブシがコクリと頷くのを見て、ボクはカートを押してレジに向かった。