狙い通り彼の目は、「たとえ誰に否定されようともこの夢は間違いなく一生ものだったのだ」と物語っていた。
そうして彼の注意を引いたと確信した僕は、続けて口を開く。
「夢は日々更新されていくものだと僕は思う。小さい頃から抱いてきた夢が、一切変わらない人なんてほんの一握りだ。その夢だって大幅に修正されないだけであって成長すればする程、より具体的なものに上書きされているはずだよ」
そして会話の端々から彼と言う人間が、非常に自己肯定感の低いタイプであることに気付いた僕は、彼の背中を押す様な言葉を何とか捻り出す。
「君なら必ずもう一度、やりたいことを見つけ出せるさ」
「……自分なんて、無理に決まってる」
「無理じゃない。君自身が自分を信じてやらなくて、……一体誰が君と言う人間の可能性を見出せるって言うんだよ」
きっと「君は出来る」と他者から評価されることは自己肯定感の低い人間にこそ必要な行為だと思う。
だからこそ僕は、何度も自信につながる様な言葉を繰り返し断言する。
「たった十数年の間に、それだけ打ち込める”一生もの”を見出したそんな君自身をもっと誇りなよ」