【あらすじ】

高二の春。自殺を決意し学校の屋上に来た僕は、そこで自分と同じくそれぞれ悩みを抱えた少年たちと出会う。
一人目は、車道に飛び出した小さな子どもを救ったことで大怪我を負い、その怪我が原因で夢破れた《松葉杖の少年》。
二人目は、部活動内のチームメイト、そしてクラスメイトからのいじめが原因でうつむきがちな《孤独な少年》。
三人目は、親の再婚がきっかけで家に居場所がなく、母親の再婚相手から暴力を振るわれているという《傷だらけの少年》。
入れ替わり立ち替わり来る日も来る日も必ずそこには誰かがいた。声をかけてしまった手前、仕方なく彼らの悩みを聞く僕は何故か彼らを時に励まし、時に怒ることで自殺をやめさせては追い返し続けた。そうやって何人かに声をかけ続けて、ようやくその日は来た。そして、「僕は今日、——この世界を卒業します」