静まり返った朝の学校から、苦手な学校へと姿を変えていく。


「それじゃあ、“また”。先に行くね」

「うん」


 彼の口にした“また”などないことを僕たちは知っていた。

 彼が立ち去った後も、僕はしばらくグラウンドを駆ける部活動生たちを静かに眺めていた。


《第三章:傷だらけの少年 第一節:木曜日fin.》