僕はただ誰かの後に飛び降りたくなかっただけなのだから。

 だけど彼は乗ってきた。


「ちょっと待ってよ。どうしてそうなるの?」

「どうしてって?」

「君は僕を止めに来たんじゃないの?」

「え?そっちこそ何、言ってんの?僕にしてみれば君が飛び降りようが、何をしようがそんな事は大して重要じゃない」

「……じゃあ、一体」


 何だって言うんだよと、その両の目のまなこが僕に問うてくる。


「さっきも言ったと思うけど……正直、後味悪いんだよね。僕の目の前で、僕よりも先に飛び降り様だなんて……、悪いけど僕は誰かの後に飛ぶだなんて真っ平御免だね」

「君って相当の捻くれ者だって言われるでしょ?」

「そりゃー、お互い様でしょ」


 そう笑う僕に、彼は諦めた様にため息を一つ吐き、話し始めた。