【二人とも無事に帰れた? 今日は楽しかったね】

 そうLINEに送信して、アプリケーションを終了する。

 俊太は無事だろう。メンタル以外は。

 しかし、佳くんの帰る家は少しだけ離れている。

 もしかしたら降られてしまうかもしれない。

 流石の私でも、外に出ているときの雷は怖い。

 それでも帰りが遅くなってしまうと厄介だと思い、まだ雷が遠いうちに、私たちは急いで帰ることに決めたのだ。

 雷は遠くても危険だと言う人もいるのだけれど。

 俊太はあっという間に見えなくなった。

 自転車屋を継がずに競輪への道へ進むべきだったのではないかと思うほどに、あっという間に消えた。

 それはまあ、仕方がない。

 彼は雷が大嫌いなのだから。

 きっと、死ぬ思いで自転車を飛ばしたのだろう。

 突然、ばらばらと窓を打ち付ける雨音が聞こえてきた。大粒の雨だ。

 佳くんは無事に着いただろうか。

 窓の外が一瞬閃く。

 それと同時に、地響きと共にバリバリバリィィと、まるで空が割れたかのような音で轟いた。

 耳を塞ぎたくなるほどの大音量。

 これは近い。雷雲は真上だ。

 私はエアコンと部屋の電気を消し、うちわを持ってベッドの上に寝転んだ。

 雷が近いときはいつもこうだ。

 極力電気を使わないように努める。

 静かに横になり、力を入れずにゆっくりと団扇を動かして暑さを凌ぐのだ。

 私が目を瞑ったその時、ピロン、とLINEの着信音が鳴った。先程の返事だろうか。

 スマートフォンに手を伸ばし、LINEをチェックする。

【俺は無事だ。ホシケイは大丈夫か?】

 俊太からの応答だった。

 その応答から暫く経って、ようやく佳くんからの返信が送られてきた。