ケンジ君ね、男のくせにさ、ヴァレンタインの日にユリに告白したのよ。ユリったら、泣いてるだけでなにも返事しないんだもん。嫌んなっちゃうわよね。いまだにちゃんと返事していないから、付き合ってるのかどうかは微妙なんだけどね。
 ケンジらしいよな。ヴァレンタインは愛を告白する日なんだって、ずっと言っていたからな。男からっていうのが本来なんだとな。
 それでお前は、完全に振られたってわけか?
 なによその言い方! 別に振られたんじゃないわよ・・・・ 私は自ら身を引いたのよ。そりゃあ一度は振られたけど・・・・
 まぁ、どうでもいいよな。それで、大事な話ってこのことか? 女っていうのはときに、恋愛話が人生で一番大事だと考えるんだ。
 そんなわけないじゃない。ナオミはそう言いながらも、ケンジがハッキリしないからいけなかったのよ。なんて呟き、本音を零した。
 もっと早く告白していればよかったのよ。あの二人、気持ちはずっと通じ合っていたんだから。私はとっくに諦めてたんだから。ただ・・・・ 他に好きな人が出来なかっただけよ。
 俺のことでも好きになるか?
 やめてよね。冗談にしてもつまらないわ。冷静な口調でそう言われると、言った自分が恥ずかしくなるよな。
 まぁ、なんにしろよかったよ。ケンジとお前が仲良くしてくれないとさ、つまらないんだよな。俺はさ、お前も含めてさ、みんなで仲良くしたいんだよ。
 なによ、それ? あんたって本当に恥ずかしいことを平気で言うよね。まぁ、そこがあんたらしくていいんだけどさ。
 俺の言葉が恥ずかしいなら、ケンジの言葉なんて聞いていられないだろ? 俺がそう言うと、ナオミは大笑いをした。そして、なにを言ってるのよ。ケンジ君の言葉は詩的で格好いいじゃない。って言うんだよ。