どんな感じだ? 息を切らせながらケンジがそう聞いた。
 ユウキなら無事だってさっき聞き屋が言いに来たよ。無事見つかって、今はもう家に帰ったよ。
 なにがどういうことか分からず俺は、そんなことを言うヨシオに掴みかかった。ちゃんと説明しろ! そう言いながら思いっきり揺さぶったため、ヨシオの頭が壁にぶつかった。
 痛いって・・・・ ヨシオは冷静だったよ。俺の目を見て、こう言ったんだ。なにも問題なかった。明日みんなで会いに行こう。ユウキは、タケシのことを心配していたよ。ごめんなさいだってさ。
 なにがだよ! 俺はそう叫び、ヨシオの胸ぐらから手を離した。
 お前たち今日、デートだったんだろ? 待ち合わせに来なかったのに帰ったのか? ケンジがそう言った。
 俺たちはいつもそうなんだよ。ユウキは忙しいからな。遅くまで練習して待ち合わせに間に合わなくなることはしょっちゅうだよ。一時間くらいなら待つけど、それ以上は先に帰るって約束になっているんだ。ユウキはもうすぐ大事な試合があるからな。俺たちにとっては、普通だったんだよ。くそっ! だからなんなんだよ! 誰かに襲われたのか? なんのためにだよ! 誰がやったんだよ!
 俺の叫び声に、街は無反応だった。平日の真夜中なんて、静かなもんだ。俺がいくら叫んでも、誰にもその声はぶつからない。
 ユウキを襲おうとしたのは、その辺のチンピラだよ。お前も知ってるだろ? ユウキを襲ってお前から金でも脅し取るつもりだったんじゃないか? なんだか随分と勘違いの多い奴らのようだがな。
 それでそいつらはどこだよ! 捕まえたのか? 警察になんて引き渡すなよな。俺は本気でそいつらを殺してやるつもりでそう言った。まぁ、殺さずとも、引き裂くくらいはしていただろうな。
 聞き屋が追いかけているってことは、すぐに捕まるさ。俺たちはここで待っていればいい。っていうか、帰ってもいいんだけどな。困ったことにさ、ケイコが聞き屋について行っちまったんだ。待たないわけにはいかないだろ?
 なんであいつが? 当然の疑問だよな。
 奴が関わっているからだな。きっと。ケンジはそう言ったが、意味は分からなかった。
 俺は一秒でも早くユウキと連絡を取りたかったんだが、やめておけと言われたよ。疲れて眠っているはずたとな。
 そう言えばだけど、明日のお昼にいつもの場所で待ってるとかなんとか言ってたよね。ニヤニヤしながらヨシオがそう言った。
 本当か? なんでもっと早く言わないんだよ! 当然の怒りだ。殴ってやろうかとも一瞬は思ったが、嬉しくてそんなことできるはずもない。
 なんで言っちゃうんだよ。なんてケンジが言っても、俺は少しも気にならない。