ケンジはチームのレギュラーだった。以前の監督時代はな。それが監督交代と同時にベンチ入りすらできなくなったんだよ。俺は巻き込まれなかったが、ケイコはベンチから外されたよ。新監督はケイコがケンジを好きだって勘違いしていたんだ。それを理由にそんな対応をした真意は意味不明だけどね。
俺達五人に、恋愛感情なんてなかった。兄弟姉妹で恋に落ちないのと一緒だよ。新監督は確かに、ケンジの両親が嫌うに値する人間だったってことだ。
さすがにケンジは怒りを爆発させたよ。ケイコだけでなく、俺たち四人を誘ってチームを去ることにした。しかし、ケンジは決して泣き寝入りなんてしない。五人で新しいチームを作ろうとしたんだ。なんともまぁ、ケンジらしい対応だよ。
ケンジは父親に相談をし、協力を求めたが、それは無理だと言われた。面倒ごとはごめんだそうだ。やりたいなら勝手にすればいいとも言われたようだ。だからケンジは、勝手にすると決めたんだ。
そんなケンジに協力する大人が一人いた。俺の父親だと言えたら嬉しいんだが、残念ながらそうじゃなかった。最終的には俺の父親も、ケンジの父親だって手伝ってはくれたんだが、その初動に協力してくれたのはヨシオの父親だけだったんだ。
俺たちの町に、野球チームは一つしかなかった。隣町に行けばあったんだが、よその人間の力を借りたくはなかったんだ。ケンジの目的は、野球を続けることじゃなく、新監督をやっつけることにあったんだよ。
しかし野球は五人ではちょっと厳しんだ。九人でやるスポーツだからな。後の四人仲間を探さなくちゃならなかった。
意地が悪い俺は、新監督率いるチームから何人かを引き抜こうと提案したが、ケンジがそれを却下をした。それじゃあ意味がないんだとさ。
それで結局、同じ学校の連中に声をかけることにした。それしか方法がなかったんだよ。他の小学校にも知り合いはいたが、練習時間を考えると、近場を誘うのが一番だったんだ。
悔しいが、新監督率いるチームは強かった。俺達五人がいてもいなくても、全国大会に出場できるほどの強さだったんだ。俺達の一つ後輩だけど、今年の甲子園で大活躍した奴もチームにいたんだ。そいつは今からプロのスカウトに目をつけられているって噂だよ。
同級生に目星い奴が二人いた。陸上をやっている奴と、サッカーをやっている奴だ。運動神経がよく、遊びでの野球にはよく参加をしている。理由を話すと、喜んで参加すると言ってくれた。
後の二人を探すのが一苦労だった。運動が得意でなくても構わないと、とりあえずは男女の区別なく全員に声をかけた。しかし、誰一人として快い返事はくれなかった。
私じゃダメですか? そう声をかけてくれたのは、一つ下の女子だった。俺達が声をかけていたのは同級生だけだったから、まさか年下から声をかけられるとは想像もしていなかった。
別にいいけど、野球やったことある? 俺がそう言うと、彼女は首を横に振った。
けど・・・・ 友達で一人上手な子を知ってるよ。女の子なんだけど。
これでようやく九人が揃ったってわけだ。男子五人に女子が四人。なかなか珍しいチームだよな。バランスが取れていると俺は思うよ。今の時代にはよく合っている。
しかし当時は、大いに笑われたよ。オカマチームだとか、女たらしだとかね。けれど俺達は、少しも気にしなかった。そういうことを言うのは、弱い奴らって相場が決まっている。俺たちのチームは、練習試合では負けなしだったんだからな。
俺達五人に、恋愛感情なんてなかった。兄弟姉妹で恋に落ちないのと一緒だよ。新監督は確かに、ケンジの両親が嫌うに値する人間だったってことだ。
さすがにケンジは怒りを爆発させたよ。ケイコだけでなく、俺たち四人を誘ってチームを去ることにした。しかし、ケンジは決して泣き寝入りなんてしない。五人で新しいチームを作ろうとしたんだ。なんともまぁ、ケンジらしい対応だよ。
ケンジは父親に相談をし、協力を求めたが、それは無理だと言われた。面倒ごとはごめんだそうだ。やりたいなら勝手にすればいいとも言われたようだ。だからケンジは、勝手にすると決めたんだ。
そんなケンジに協力する大人が一人いた。俺の父親だと言えたら嬉しいんだが、残念ながらそうじゃなかった。最終的には俺の父親も、ケンジの父親だって手伝ってはくれたんだが、その初動に協力してくれたのはヨシオの父親だけだったんだ。
俺たちの町に、野球チームは一つしかなかった。隣町に行けばあったんだが、よその人間の力を借りたくはなかったんだ。ケンジの目的は、野球を続けることじゃなく、新監督をやっつけることにあったんだよ。
しかし野球は五人ではちょっと厳しんだ。九人でやるスポーツだからな。後の四人仲間を探さなくちゃならなかった。
意地が悪い俺は、新監督率いるチームから何人かを引き抜こうと提案したが、ケンジがそれを却下をした。それじゃあ意味がないんだとさ。
それで結局、同じ学校の連中に声をかけることにした。それしか方法がなかったんだよ。他の小学校にも知り合いはいたが、練習時間を考えると、近場を誘うのが一番だったんだ。
悔しいが、新監督率いるチームは強かった。俺達五人がいてもいなくても、全国大会に出場できるほどの強さだったんだ。俺達の一つ後輩だけど、今年の甲子園で大活躍した奴もチームにいたんだ。そいつは今からプロのスカウトに目をつけられているって噂だよ。
同級生に目星い奴が二人いた。陸上をやっている奴と、サッカーをやっている奴だ。運動神経がよく、遊びでの野球にはよく参加をしている。理由を話すと、喜んで参加すると言ってくれた。
後の二人を探すのが一苦労だった。運動が得意でなくても構わないと、とりあえずは男女の区別なく全員に声をかけた。しかし、誰一人として快い返事はくれなかった。
私じゃダメですか? そう声をかけてくれたのは、一つ下の女子だった。俺達が声をかけていたのは同級生だけだったから、まさか年下から声をかけられるとは想像もしていなかった。
別にいいけど、野球やったことある? 俺がそう言うと、彼女は首を横に振った。
けど・・・・ 友達で一人上手な子を知ってるよ。女の子なんだけど。
これでようやく九人が揃ったってわけだ。男子五人に女子が四人。なかなか珍しいチームだよな。バランスが取れていると俺は思うよ。今の時代にはよく合っている。
しかし当時は、大いに笑われたよ。オカマチームだとか、女たらしだとかね。けれど俺達は、少しも気にしなかった。そういうことを言うのは、弱い奴らって相場が決まっている。俺たちのチームは、練習試合では負けなしだったんだからな。