帰りに五人が揃うことは珍しかったが、大事な話をするには好都合だよな。元から今日は学校生活最後の日だ。卒業式を除いてな。五人でどこかで食事をするつもりでいたんだよ。
 悲しくってもさ、俺たちは生きているんだ。それって幸せなことなんだ。俺たちはさ、やれることをやるだけだ。それでいいじゃんかよ。泣きたけりゃ泣けばいいし、笑いたければ笑えばいいんだ。悪いけど俺は、明後日、最高に笑ってみせるよ。
 おいおい、タケシの頭がおかしくなったようだな。ケンジがそう言い、みんなが一斉に笑い出した。なんだよ! 俺は別におかしなことは言っていないぜ。
 俺たちは横浜駅にあるラーメン屋で食事をした。中国人が経営している、安くて美味い店なんだ。なにかっていうと、俺たちはそこに行く。まぁ、デート向きじゃないから、ユウキを連れて行ったことはない。好きな女には、格好つけるのも男の仕事なんだよ。まぁ、やりすぎると疲れるからな。ときには息抜きも必要だったりする。卒業したら、連れて行こうと思っているよ。まぁ、ユウキの試合が終わった後にだけどな。そういえば日曜は大会だったはずだ。残念だよな。ユウキの試合を見に行こうかと思っていたんだ。本人は来ないでと言っていたが、俺はこっそり覗くつもりでいた。もちろんユウキには内緒で、声もかけずに帰るつもりだったんだけどな。予定は変更で、明日の練習を覗こうかなって考えている最中だ
 ラーメンを食べ終えると、誰もなにも言わずに自然とその足を聞き屋の元へと向けた。全員が揃ってだよ。