[清香]―― 拝啓 眞子様
[眞子]―― なにどうしたの? 変な清香。
[清香]―― 昨日はごめんね。せっかく来てくれたのに会えなくて。ちょっと最近調子あんまりよくなくて、部屋に入ってもらえなかったの……。
[眞子]―― 気にしないで。よくなったらまた行くから、そのとき連絡してよ。それまではこうしてメッセージのやりとりで我慢したげる。
[清香]―― ありがとう。早く眞子に会いたいから頑張る!
[眞子]―― そうして!
[清香]―― そうする!
[眞子]―― へこたれてなくて、ちょっと安心した。
[清香]―― へこたれないよ? そんなことしたら死神に連れてかれちゃうし。それはさせられない。
[眞子]―― ……まだ会ってるの?
[清香]―― うん。
[眞子]―― ちょっと……いや、それはすごくイヤだな……。
[清香]―― 大丈夫。死神はね、ひねくれで寂しがりやだから、ほっとけないの。私のせいでアイデンティティが崩壊で大変なのよ。
[眞子]―― なにそれ……。
[清香]―― 人の死を好み寄り添い、囁いて導くはずが、それを出来なくなっていて。
[眞子]―― 責任感じてるだけだったらすぐやめて。そんなの清香に関係ない。
[清香]―― だけじゃないよ。私が、一緒にいたいの。那由多も、それを望んでくれたの。……こんな最悪な私に。
[眞子]―― 清香は最悪じゃない!
[清香]―― ありがとう。こんな勝手な私を肯定してくれて。友達でいてくれて。
[眞子]―― 勝手でもなんでも友達だよ! 死神にだって、勝手でもいい。清香が気にすることなんてない! 崩壊寸前の死神なんてとんでもなく面倒で勝手な奴には、清香だって勝手にしてればいい!
[清香]―― ふふふ。
[眞子]―― なによ気持ち悪い……こっちもおほほって返すわよ?
[清香]―― じゃあ今度会えたとき、声に出してよろしくね! ……ねえ眞子。私は、元気だから。
[眞子]―― 死神のこと、好きなの?
[清香]―― 唐突だなあ。でも……うん、なんというか……。命が尽きるまで一緒にいてって言った。頷いてもらえた。でも命というのは、果たしてどちらが私たちは先に尽きるんだろう。
[眞子]―― 質問の答えになってない……。
[清香]―― それは、言えないことだよ。
[眞子]―― なんで?
[清香]―― それは……私はやっぱり勝手な人間で。そのことに勝手に罪悪感をもっていて……それだけは、口が裂けても誰にも言えないことだからだよ。
[眞子]―― ………………。
[清香]―― 眞子、寝ちゃった?
[眞子]―― …………。
[清香]―― おやすみなさい。