新しい部屋には、林さんがまだいた。

「坊ちゃま。」

「新しい転校生、連れてきた。」

僕はヤツを指差した。

ヤツはのん気に、廊下をキョロキョロしている。

「おい、ここだぜ。」

僕がヤツを呼ぶと、ヤツは笑顔で走ってきた。


「じゃあ、僕はここで失礼するよ。」

僕はまた一階へ行くのに、階段に向かった。

「あ、君。名前なんて言うの?」

ヤツは僕の名前を聞いてきた。


「秋元祐輔。」

「祐輔か。僕は高原想。想って呼べよ。」

「ああ……」

ヤツは早速新しい友達ができたと思っているんだろう。

でも僕はそんな事も、気にもとめなかった。

今は知らなくても、いずれ知るだろう。

そして、僕が学長の息子と知ってる奴らは、媚びるか離れていくかのどちらかなんだ。