父にしてみれば、息子の為に言った言葉なのかもしれない。

だけど僕にしてみれば、そんな事、聞きたくなかった。

「僕は父さんの跡を、継ぐ気はありません。」

父さんは、ひどく驚いていた。

「何?」

「僕には、父さんの考え方が理解できない。」

「祐輔。」

「少なくても僕は、才能とは関係なく、好きなものをやってみたい。」

将来を思い描けない僕が、少しでも未来を口にした瞬間だった。


それからの僕は、人が変わったように、授業に打ち込んだ。

母は、僕が父の後を継ぐ気がないことを、父から聞いていたみたいで、何かあると、やたらとその話をした。

だけど、僕の心はもう決まっていたんだ。