「祐輔君。」

そのガラスの破片の中に、先生はいた。

「何があったんですか?」

地震なんてなかったよな。

そう思いながら、先生がいる方へと、足を向けた。

「来ないで。」

僕は足を止めた。

「こっちへ来ないで。」

散らばっているガラスが、先生と僕の距離を、尚一層遠くさせた。

「このままじゃ、先生危ないですよ。」

僕はしゃがんで、ガラスの破片を拾い始めた。

先生も黙ってしゃがむと、ガラスの破片を拾い始めた。


半分くらい拾った頃だろうか。

反対側から拾い始めた先生の腕が、僕の視界に入った。

「あれ?先生、そのブレスレット……」

先生はハッとして、破片を拾うのをやめ、左手でそのブレスレットを隠した。

少しの間しか見ていないが、そのブレスレットは、有名なブランドのものだった。