僕はさっさと食べ終わった皿を片付け、学食を後にした。

女の子は好きだがしつこいのは困る。

川合はいい子だけど、それ以上もそれ以下でもない。


その時、家のチャイムが鳴った。

「はい。」

玄関に行き、インターホンを覗くと荷物を持ったヤツが外に立っている。

玄関を開けると、そいつは頭を少し下げた。

「今日からお世話になる、高原です。宜しくお願いします。」

一見どこにでもいるような青年。

もっとオタクみたいなヤツを想像していたのに。


それが"ヤツ"、高原想との出会いだった。


「どうぞ。」

僕はヤツを家に招き入れた。

ヤツは嬉しそうに、新しい家をキョロキョロと見ていた。

普段はそんな事しないのに、どうしたわけか、ヤツの案内を引き受けた。

「僕が君の部屋まで案内するよ。」

「ありがとうございます。」

そして僕は、元来た道をそのまま歩いた。

「君もここの学生?」