「この教室に入って来た時の祐輔君、なんだか思いつめたような顔してたから。」

心配してくれたのか?

この僕を。

先生は、心配してくれたんだ。


「またここに来ていいですか?」

「ええ、いいわよ。」

「ありがとうございます。じゃ。」

僕はそう言って、美術室を出た。


そして僕は、自分の中の何かが、ゆっくり動き始めていくのを、感じていたのだった。