嘘だと分かっていても、納得せずにはいられない。

心の中に、新しい何かが波打つような、そんな感覚だった。

「な~んちゃってね。人の受け入りだったりして。」

あの人はそう言って、舌をペロッと出すと、一番窓側の椅子に座った。

「そこに座って。」

そう言ったあの人は、スケッチブックを持っていた。

「あの、僕は……」

「細かいことは気にしない。さ、早く。」

僕は言われた通りに、近くの席に座った。

「じっとしててね。」

あの人はペンを持つと、僕を見ながらスケッチを始めた。

ドキッとした。

僕を見ているあの人の瞳が、あまりにも綺麗だったから。

そして僕はずっとあの人から、目を離すことができなかった。


「こっちを見てね。」

あの人は指で、視線の先を指定した。

だけどしばらくすると、僕の目線はあの人に向いてしまうわけで。

「あ~、じゃあ、今度はこっちね。」

あの人は、また違う目線を指定する。