昼休み。

僕はその日も一人で、学校をウロウロしていた。

そんな時に、決まって話しかけてくるのが、奈々瀬だった。

「祐輔。今日のお昼、何食べたの?」

「学食。」

「また?先生、朝早く起きて祐輔のお弁当作っているのに、持って行ってくれないって、愚痴ってたわよ。」

母親は、他に愚痴る相手がいないのか、俺の愚痴まで奈々瀬に言っていた。

「母さんは僕の為に作ってるんじゃなくて、自分の為に作ってるんだよ。」

「どう言う事?」

「息子の為に弁当を作っているって事を、周りにアピールしたいだけなんだ。」

「またそんな事言って……」


母さんは、良いピアノの先生と言うイメージを作る為に、母親という立場も、利用しているんだ。

「奈々瀬!」

「あ、文香ちゃん。」

遠くから奈々瀬の友達が、駆け寄ってくる。

「今日は、メダルを貰った人達の表彰式だよ。」

「え!今日だっけ?」