「両親の葬式の時に、学長が来て言ったんだ。俺のところに来ないかって。ただそれだけだ。」

それだけ？

自分のところに来ないかって、どうして赤の他人に、僕の父親が言うんだよ。

「お前の親父って……」

「なに？」

「本当に想の父親か？」

ヤツは固まっていた。

無理もない。

僕は父親と、ヤツの関係を疑っているんだ。

「はははっ！」

ヤツは突然、笑い出した。

「何、祐輔は僕が、学長の子供だと思っているの？」

そしてさらに、ヤツは笑い続けた。

「普通そう思うだろ。」

「そうだよな、ごめん。だけど僕は正真正銘、父さんと母さんの子供だよ。」

僕の方が、変に勘ぐったりしたのに。

「僕の方こそ、ごめん。」

ヤツは僕のセリフで、笑うのを止めた。

「じゃあな、想。」

「……祐輔？」