渓谷を結ぶ鉄道橋はかなり錆び付いていた、約十数年前までは活用されていたのだが、観光客の減少、頻発している地震の影響で、橋はおろか鉄道自体もう使われていない。
最盛期には、この鉄道橋は年中無休使われていた、電車に収まらないほど沢山のお客を乗せて、時にはテレビ局の取材陣や、有名や芸能人やその家族も、この鉄道橋の上で絶景を楽しんでいた。
今はもうその面影なんてほどんど見えない、観光地にひしめき合っていた商店街や露店の殆どが廃業、あるのはその残骸のみ、近くその残骸も取り壊される予定なのだ。
しかしこの場所には時々人が訪れる、自分の足で、険しい山道を歩き、わざわざこの鉄道橋目当てに来る人が居るのだ、しかしその目当てとは、絶景などの綺麗な事柄ではなかった。
鉄道橋の下には川が流れているのだが、川から鉄道橋までの高さは十数km、見下ろすだけでも足が震えそうな高所。
その鉄道橋の周りは山々に囲まれている、昔は桜や紅葉など、様々な四季の景色を眺める事ができる場所だった、あえて鉄道橋で観光電車が止まり、写真家が一斉にフラッシュを焚いていた場所でもあった。
しかし、度重なる地震で桜や紅葉の木々が地滑りによって川に流れ落ち、幸い川はせき止められずに済んだのだが、その美しい景色は消し去ってしまったのだ。
流された桜や紅葉の木々は、山の麓にあった村などを襲い、幸いあまり人命に関する被害者は出なかったが、山の麓にある村は、現在たった一か所のみ、その村には山の景色を集めた記念館があるのだが、その足取りも最近途絶え始めている。
現在その山は、地面が丸出になっている場所ばかりで、お世辞にも絶景とは表現できない、しかも最近の長雨が影響して、この一帯は今でも立ち入り禁止の場所。
長雨の影響で地盤が緩んでいる事もあるが、その山でわずかに残っている木々の約半分が高齢、雨の影響で幹が腐り、再びあの大惨事が起こる危険性があった、だがその悪い予感は幸いにも外れてくれた。
なので唯一残っている村には、今でも村民達が普通に暮らせているその村は最近地域活性化の働きで、入居者がぽつぽつとだが増え始めている場所、都会に比べたら不便化なのかもしれないが、雄大な自然と村民達の温かい歓迎が大人気なのだ。
だが唯一、その村の景観を悪くしているのが、いつまで経っても撤去されない、その鉄道橋だった、本来その鉄道橋を建てた建築業者が撤去作業をするのだが、その会社自体も数年前に倒産。
鉄道橋の解体自体、かなりの大金と人手が必要になるので、誰もがその鉄道橋を邪魔に思っていても、他人事の事態が続いている、その鉄道橋を取り壊す募金を県が執り行った事があるのだが、目標金額まで届かないまま、その件自体が闇に葬られてしまった。
そんな場所を悠然と歩く、一人の女性がいた、彼女の名前は大神 喜世姫(おおがみ きせき)、彼女は最近巷で噂になっている実態を探りに来た。
その噂とは、「この鉄道橋には、自殺を促す怪物、『ヒツジ男』が生息している」という、現実味を帯びていない都市伝説的な内容だった、だがその噂を裏付けるように、最近この橋から飛び降りて自殺する人々が多発している。
運良く命が助かった人に話を聞こうとしたのだが、その時の記憶は途切れ途切れになっていて、自分が何故その鉄道橋に行き、自らの身を投げたのか、全く分からないらしい。
だがその人の証言に、興味深い言葉が出たのだ。
「何故かその鉄道橋で、『羊』の姿を一匹だけ見た。」
誰かがいたずらで山に放ったのならともかく、そんな場所に羊が生息している事事態不自然すぎる、そしてこの証言が、巷で流行っている噂の証拠でもあった。
この事態に「主」はキセキに、退治と事件の解決を依頼した、警察に「ヒツジ男」という単語を出した時点で、相手にされない、単なる幻覚として追い払われてしまう終わりがオチだろう。
だが、そんな事態を解決するのが、キセキの役目、警察には何も連絡は入れていない、理解してもらえる可能性が無いからだ、これはキセキと、キセキが所属している「組織」だけの作戦だ。
だが今のキセキは、一種のピクニック感覚で山を歩いていた、あたりの自然を楽しみながら、湧水を手ですくったり、森に住んでいる動物達を探したりと、一見するとただの観光客にしか見えない。
元々自然が大好きなキセキは、今回の依頼を快く引き受け、ちゃんと準備も前々から済ませていた、この山に入る事は簡単だ、昔観光地だった頃の名残がまだ残っているので、道は辛うじてある。
だがそれをいいことに、この場所に肝試しに来る人々は後を絶たない、単なる遊びのつもりなら構わないのだが、その肝試し客が、村に入って騒ぎを起こしたり、車を猛スピードで飛ばし、夜中に大音量で音楽を聴いたり。
その度に警察のご厄介になる人々が増え、最近では村民に直接被害を与える肝試し人まで出る始末、村に交番はあるのだが、その交番に警察官は3人、しかも彼らのみで、大人数で来る肝試し人の相手はできない。
夜になると、村人達の住む家は、厳重に施錠される、トラブルに巻き込まれたくないからだ、しかしあれこれ手を尽くしても、肝試し人の暴走は収まる気配を見せず、数日前には、民家に車のまま侵入した若者が現れたのだ。
そんな話を、キセキは山に登る前、村民の人々から聞いた、彼女も少し怪しまれた身ではあったが、きちんと村民達と会話をするキセキに、村民達はすぐに心を許してくれた。
村民達自体、とても優しくて明るい人が多い、そんな村民達の生活を、元の平穏な日々に戻す為に、キセキは騒ぎの現況でもある鉄道橋に向かい、山に登ってから約数十分後、その場所にたどり着く。
そしてキセキが、恐る恐るその鉄道橋に足を踏み入れた瞬間、異変が訪れた。
最盛期には、この鉄道橋は年中無休使われていた、電車に収まらないほど沢山のお客を乗せて、時にはテレビ局の取材陣や、有名や芸能人やその家族も、この鉄道橋の上で絶景を楽しんでいた。
今はもうその面影なんてほどんど見えない、観光地にひしめき合っていた商店街や露店の殆どが廃業、あるのはその残骸のみ、近くその残骸も取り壊される予定なのだ。
しかしこの場所には時々人が訪れる、自分の足で、険しい山道を歩き、わざわざこの鉄道橋目当てに来る人が居るのだ、しかしその目当てとは、絶景などの綺麗な事柄ではなかった。
鉄道橋の下には川が流れているのだが、川から鉄道橋までの高さは十数km、見下ろすだけでも足が震えそうな高所。
その鉄道橋の周りは山々に囲まれている、昔は桜や紅葉など、様々な四季の景色を眺める事ができる場所だった、あえて鉄道橋で観光電車が止まり、写真家が一斉にフラッシュを焚いていた場所でもあった。
しかし、度重なる地震で桜や紅葉の木々が地滑りによって川に流れ落ち、幸い川はせき止められずに済んだのだが、その美しい景色は消し去ってしまったのだ。
流された桜や紅葉の木々は、山の麓にあった村などを襲い、幸いあまり人命に関する被害者は出なかったが、山の麓にある村は、現在たった一か所のみ、その村には山の景色を集めた記念館があるのだが、その足取りも最近途絶え始めている。
現在その山は、地面が丸出になっている場所ばかりで、お世辞にも絶景とは表現できない、しかも最近の長雨が影響して、この一帯は今でも立ち入り禁止の場所。
長雨の影響で地盤が緩んでいる事もあるが、その山でわずかに残っている木々の約半分が高齢、雨の影響で幹が腐り、再びあの大惨事が起こる危険性があった、だがその悪い予感は幸いにも外れてくれた。
なので唯一残っている村には、今でも村民達が普通に暮らせているその村は最近地域活性化の働きで、入居者がぽつぽつとだが増え始めている場所、都会に比べたら不便化なのかもしれないが、雄大な自然と村民達の温かい歓迎が大人気なのだ。
だが唯一、その村の景観を悪くしているのが、いつまで経っても撤去されない、その鉄道橋だった、本来その鉄道橋を建てた建築業者が撤去作業をするのだが、その会社自体も数年前に倒産。
鉄道橋の解体自体、かなりの大金と人手が必要になるので、誰もがその鉄道橋を邪魔に思っていても、他人事の事態が続いている、その鉄道橋を取り壊す募金を県が執り行った事があるのだが、目標金額まで届かないまま、その件自体が闇に葬られてしまった。
そんな場所を悠然と歩く、一人の女性がいた、彼女の名前は大神 喜世姫(おおがみ きせき)、彼女は最近巷で噂になっている実態を探りに来た。
その噂とは、「この鉄道橋には、自殺を促す怪物、『ヒツジ男』が生息している」という、現実味を帯びていない都市伝説的な内容だった、だがその噂を裏付けるように、最近この橋から飛び降りて自殺する人々が多発している。
運良く命が助かった人に話を聞こうとしたのだが、その時の記憶は途切れ途切れになっていて、自分が何故その鉄道橋に行き、自らの身を投げたのか、全く分からないらしい。
だがその人の証言に、興味深い言葉が出たのだ。
「何故かその鉄道橋で、『羊』の姿を一匹だけ見た。」
誰かがいたずらで山に放ったのならともかく、そんな場所に羊が生息している事事態不自然すぎる、そしてこの証言が、巷で流行っている噂の証拠でもあった。
この事態に「主」はキセキに、退治と事件の解決を依頼した、警察に「ヒツジ男」という単語を出した時点で、相手にされない、単なる幻覚として追い払われてしまう終わりがオチだろう。
だが、そんな事態を解決するのが、キセキの役目、警察には何も連絡は入れていない、理解してもらえる可能性が無いからだ、これはキセキと、キセキが所属している「組織」だけの作戦だ。
だが今のキセキは、一種のピクニック感覚で山を歩いていた、あたりの自然を楽しみながら、湧水を手ですくったり、森に住んでいる動物達を探したりと、一見するとただの観光客にしか見えない。
元々自然が大好きなキセキは、今回の依頼を快く引き受け、ちゃんと準備も前々から済ませていた、この山に入る事は簡単だ、昔観光地だった頃の名残がまだ残っているので、道は辛うじてある。
だがそれをいいことに、この場所に肝試しに来る人々は後を絶たない、単なる遊びのつもりなら構わないのだが、その肝試し客が、村に入って騒ぎを起こしたり、車を猛スピードで飛ばし、夜中に大音量で音楽を聴いたり。
その度に警察のご厄介になる人々が増え、最近では村民に直接被害を与える肝試し人まで出る始末、村に交番はあるのだが、その交番に警察官は3人、しかも彼らのみで、大人数で来る肝試し人の相手はできない。
夜になると、村人達の住む家は、厳重に施錠される、トラブルに巻き込まれたくないからだ、しかしあれこれ手を尽くしても、肝試し人の暴走は収まる気配を見せず、数日前には、民家に車のまま侵入した若者が現れたのだ。
そんな話を、キセキは山に登る前、村民の人々から聞いた、彼女も少し怪しまれた身ではあったが、きちんと村民達と会話をするキセキに、村民達はすぐに心を許してくれた。
村民達自体、とても優しくて明るい人が多い、そんな村民達の生活を、元の平穏な日々に戻す為に、キセキは騒ぎの現況でもある鉄道橋に向かい、山に登ってから約数十分後、その場所にたどり着く。
そしてキセキが、恐る恐るその鉄道橋に足を踏み入れた瞬間、異変が訪れた。