「どのような?」

「それは……」

説明しようとして言い淀んでしまう。
が、ちゃんと話しておかなければならない。

「私が小説書いて生活してるっていうのは話してあるよね」

「はい、うかがっておりますが」

「その、ジャンルがね。
……TLなの」

「TL……ですか」

一瞬、TLがなんなのかわからなかったのか、松岡くんは眼鏡の奥で一回、大きく瞬きした。

「それは要するに……女性向けエロ……ごふっ!」

「エロ小説言うな!」

思いっきり、松岡くんのお腹をグーパンしてやった。
痛そうにお腹をさすっているが、悪いことをしたとは全く思わない。

「でも女性向けエロ小説ですよね?」