『愛する紅夏のために作りました』

ごくごくたまに見せるあの優しい笑顔で、私にお皿を差し出して……。

「キャーッ!」

恥ずかしい、恥ずかしすぎる。
畳の上でごろごろ転がっている私に、セバスチャンは不思議そうだ。

「でもない、ないわー。
だってあの、松岡くんだよ?」

もっとこう、……こう。

『俺が作ったんだからまずいとかないよな?』

これでいつもの、片方の唇の端をちょっこだけと持ち上げる意地悪な笑い方したら……完璧。

「それはそれで、コロッケがたわしでもおいしく召し上がらせていただきます! って感じだ……」

あ、ヤバい、こんなこと考えていたらご褒美すぎて鼻血でそう……。