「ハウスキーパー?」

「ちょっと待っててくださいねー」

立ち上がった彼女の、栗毛色の髪が揺れる。
色白でお目々ぱっちり、綺麗にお化粧して仕事だから抑えめとはいえ、可愛い服を着た彼女は世の男どもから見たらまさしくお姫様だろう。

その一方で私は、外に出てもやっぱり伸ばしっぱなしの黒髪を一つ結びだし、化粧も軽くBBクリームを塗って粉をはたき、口紅を塗っただけ。
服だってある程度きちんと見えていればいいと、適当にウニクロで買ったシャツとスカートだ。

こんな女、王子様の方から願い下げだろう。

……わかってはいるんだけどね。

幼い頃から王子様を待ちわびている割に、努力が全く足りていないのは。

いや、見た目の努力以前に家から全く出ないのが問題なのだ。


人付き合いの苦手な私は小学校も中学校も高校も、大学でさえも狭いコミュニティの中で過ごしてきた。